「ANA AVATAR XPRIZE」決勝戦レポート

Column

2022.12.5

「ANA AVATAR XPRIZE」決勝戦レポート

This is just the step1. Step 2 is to make these technologies into services to impact the world together.

「今日までのこの4年間のムーブメントは終わりではなく「ステップ1」であり、始まりにすぎない。

この技術を「ステップ2:実用化」させ、共に世界に衝撃を与えていこう。」

 

2022年11月2日から5日にかけてアメリカ・ロサンゼルスで開催された「ANA AVATAR XPRIZE」決勝戦、その表彰式のスピーチで弊社CEO深堀が観客に語りかけました。

 

 

「ANA AVATAR XPRIZE」が始まったきっかけは、次期賞金レースのテーマを決める「VISIONEERS SUMMIT 2016」にて深堀が牽引するANAチームが考案した「ANA  AVATAR:地理的・時間的・経済的距離を縮めて世界をつなぎ人類の様々な課題を解決」がグランプリを受賞したことでした。そして、この賞金レースでピーター・ディアマンデス氏を始めとするXPRIZE財団関係者との出会いが、弊社設立の原動力ともなりました。

 

【決勝戦の様子】

賞金1000万ドルをかけて2018年当初81カ国820チームが参加した国際的ムーブメントでしたが、マイアミで行われた準決勝出場は38チーム、その中から20チームが決勝へ選出され、チームの合併などで最終的に17チームで決勝戦が行われました。

レース期間中は新型コロナウィルスで国境が閉ざされ渡航が許されず参加できなかったチームもあったりと、それぞれの苦難とバックグラウンドを乗り越えての大会参加となりました。

 

 

 

【出場チーム】

決勝に出場した17チーム中、日本チームは2チームでした。大阪から出場したLast Mileチームは、ロボットにエメラルドのライトやアイコンのような装飾を施した愛嬌たっぷりのロボットで参加されていました。一方、筑波とフランスの共同で立ち上がったJanusチームは、難易度の高い二足歩行ロボットにあえてチャレンジし、ヒューマノイドロボットを開発していました。その他、フランス、イタリア、イギリス、メキシコ、韓国、シンガポールなど10カ国からの出場でした。印象的だったのは、アバターを実現するための開発に向かう姿勢や情熱はそれぞれ同じだったものの、チームの軸にある考え方やコンセプトはそれぞれ違って研究されていたことです。

チームに関する詳しい情報はこちらへ。

 

 

 

【まさに宇宙を探検するようなミッションで評価】

ミッションは、宇宙のプラネットXに降り立ち、10のタスクを25分の制限時間で完了させるというものでした。タスクには、人間が持つスキルである「見える聞こえる動ける」などを含め、重さを感じたり、触感をともなうハプティクス技術などの融合や互換性を評価するためのコースが設計されていました。

具体的には、最初に遠隔でミッションを会話で受け取って、宇宙ステーションのハッチを開け、バッテリーの入ってるキャニスターを見分け、ドリルを使ってドアを開け石を取り出すなどです。評価ポイントは、大きく”人と人のコネクション・探検・スキルの伝送”の3つ。誰もがどこにでもスキルを伝送できることを反映しているかを15点満点の加点方式で審査されました。

そして、ロボットを操作をするのは製作したチームのメンバーではなく、レース運営者であるXPRIZE側の審査員。こうすることによって、アバターが誰でも使いやすいものとなって普及していく形を促進させたいという意図がありました。

 

 

 

 

【優勝者はドイツのNimbRo】

Nimbro(ドイツ)は10のタスクを5分30秒で全てクリアし、2位のPollen Robotics(フランス)に5分という大差をつけて満点評価で優勝を勝ち取りました。博士課程でロボット工学を専攻し現在は弊社CTOを務めるチャリスは、「タスクの評価以外でロボットのインテグレーションが優れていた、初めて操作する人にとって説明がなくともわかりやすく、遠隔でも操作性が高かったことが勝因だったのではないか」とコメントしています。

まさに、今回のテーマである「複数の新技術を統合したアバターシステムを開発し、オペレーターが遠隔地の環境において、あたかもそこにいるかのように見たり聞いたり対話したり触れたりすることができる」ということを実現したものでした。

 

 

 

今回のANA AVATAR XPRIZEは、2004年に開催された民間による最初の有人弾道宇宙飛行を競うコンテスト「ANSARI XPRIZE」以来、初めての一般公開イベントでもありました。ロボット関連の専門の方々以外にも、地元の子どもたちや地域の方々が訪れ、アバターの可能性を多くの人へ伝えるイベントとなりました。

 

弊社は2018年から4年かけて取り組んだこの大会の結末を終わりではなく、次のステージへの一歩と位置付けます。世界レベルでアバターという概念が成長し続けることが、これからのアバター技術の開発を加速させていくことになります。必要なかたちのアバターが適材適所に置かれ、世界中の人々の生活改善や人命救済などに役立ち、社会課題を解決していく。そのためにも、我々は日々新しい開発へ挑み続けるとともに、これからもアバタームーブメントを先導していきたいと考えています。

 

 

【ニュースリリースについて】

 

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