空港間リソースシェアによるアバターロボットの実証レポート(第2期)
― 動画再生機能と問い合わせボタン機能を組み合わせた案内業務を実施 ―

Column

2026.5.20

空港間リソースシェアによるアバターロボットの実証レポート(第2期)
― 動画再生機能と問い合わせボタン機能を組み合わせた案内業務を実施 ―

空港運営では、業務の多様化・複雑化が進む中、人手不足や多言語対応の増加といった課題が重なっています。限られたスタッフ体制のもとで、業務効率化と利用者へのサービス品質向上をどのように両立させるかが重要なテーマとなっています。
こうした背景から、国土交通省特定新技術補助金「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」のもと、新千歳空港と旭川空港の2空港において、アバターロボット「newme(ニューミー)」を活用した遠隔案内のリソースシェアに取り組みました。
 
第1期の実証は、空港業務における新たな遠隔案内スタイルの実現可能性を探ることを目的に実施しました。2025年8月27日から9月26日まで(土日祝日を除く)の実証期間を通して、オペレーターは新千歳空港と旭川空港の2つの空港間で、newmeを切り替えながら遠隔案内業務を行うリソースシェアを、円滑に遂行することができました。
 
第1期で得られた結果をもとに、第2期の実証では、2026年1月20日から3月6日までの期間(土日祝日を除く)、新千歳空港と旭川空港の2つの空港において、オペレーターから利用者へお声がけする「プロアクティブ接客」に加え、「動画再生機能」と「問い合わせボタン機能」を組み合わせた案内業務を実施しました。この2つの機能を活用することで、待機時間を案内時間に変えることで、1台あたりの案内提供時間を拡大するとともに、newmeの稼働台数を増やし、1名のオペレーターが担当できる台数を拡大することを目指しました。これにより、より効率的な運用と利用者の利便性向上の両立を図りました。
newmeの通信環境については、第1期で安定運用が確認できた通信環境を選択しました。非常に混雑するシーズンである新千歳空港では、引き続きローカル5Gを採用し、旭川空港では電波状況の良好なキャリア通信を用いて遠隔案内を実施しました。
 

fig1:実証のイメージ

 
効率化・利便性向上を支える2つの新機能
 
第2期で追加した2つの機能について紹介します。
①「動画再生機能」は、オペレーターがプロアクティブ接客を行っていない時間帯や場所で案内動画を流して案内提供を行う機能です。喫煙所など、問い合わせの多い施設の場所や経路を動画で案内します。今回の実証では、動画を最大4カ国語(日・英・韓・中)で表示しました。
②「問い合わせボタン機能」は、利用者がオペレーターによる案内を必要とするタイミングで、newmeに表示されている問い合わせボタンを押し、オペレーターを呼び出せる機能です。この機能を活用すると、動画再生機能の案内動画だけでは解決できない問い合わせについて、その場で直接オペレーターに確認することができます。
 
 

fig2:動画再生機能と問い合わせボタン機能を搭載したnewme

 

3名のオペレーターで9台のnewmeを運用

 
第2期では、第1期から2台増設した計9台(新千歳空港 7台、旭川空港 2台)を配置し、東京のオペレーションルームから3名のオペレーターで運用しました。
接客面では、オペレーターから積極的に声をかける「プロアクティブ接客」と、利用者が必要な時に呼び出す「問い合わせボタン機能」の2つを組み合わせて運用しました。この体制により、1名あたり最大5台の担当が可能となり、オペレーターへの業務負荷を抑えつつ、第1期と比較して1人あたりの担当台数を2台増やすことに成功しました。
 

fig3: 2つの空港で案内業務を行っている様子

 

動画再生機能の利用状況
 
動画再生機能が利用者にどの程度活用されているのかを把握するため、現地で案内動画を表示しているnewmeについて、利用者がどの程度注目し利用しているのか、利用状況の調査を行いました。その結果、利用者の行き先の分岐点に配置したnewmeの案内動画に足を止める様子が多く見られました。また、自身の言語で流れる動画が表示されるまで待っている利用者もいました。この調査結果から、利用者は行き先を確認する分岐点やエレベーター付近などで、案内動画を活用する傾向があることが確認できました。
動画による案内であっても、設置場所と提供する案内内容を事前に設計し、案内動画の種類を増やすことで、さらなる利便性向上につなげられると考えています。
 

fig4:荷物の多い利用者が問い合わせボタン機能を活用する様子

 
問い合わせボタン機能の利用状況
 
利用者からのオペレーターの呼び出しは、合計47件ありました。特に、30代から50代のファミリー層に多く利用いただきました。小さなお子様を連れ、大きな荷物や重い荷物を持って移動する利用者が多い冬のシーズンにおいて、近くにあるnewmeのボタンを押すだけで案内を受けられるサービスは、便利に感じていただけたと考えられます。広い空港内で案内所を探し歩く必要がなく、その場で問い合わせを解決したいというニーズが、問い合わせボタン機能の利用につながったと考えています。
 
2空港間のリソースシェア結果
 
第2期の31日間の実証期間中、2つの空港を切り替えながら、合計1,363件の案内業務を実施しました。
サービスを利用された方々を対象としたアンケートでは、回答者のほぼ全員がサービスに「満足」または「とても満足」と回答しました。また、次回利用への意欲も98%と非常に高く、「とても便利で助かる」「面白いサービス」「フレンドリーで声をかけやすい」といったコメントをいただきました。
 
第2期の実証を通じて、「プロアクティブ接客」「動画再生機能」「問い合わせボタン機能」を組み合わせた接客形態は、繁忙期の混雑した空港において、少人数で多数のロボットを運用する上で有効であることが確認できました。
常時スタッフからお声がけするだけでなく、利用者のニーズに応じた接客を組み合わせることで、オペレーターの負荷を抑えつつ、稼働台数の増加と利便性の向上を両立した効率的な運用を実現しました。
 
人とAIのハイブリッド案内に向けて
 
今後は、第1期・第2期の実証で得られた知見や対応記録を最大限に活用し、オペレーターによる遠隔案内とAIエージェントを融合させた、次世代の空港案内サービスの構築に取り組んでまいります。引き続き、空港運営における人手不足という課題解決に向け、最先端技術を柔軟に取り入れながら、社会実装を目指して事業を推進してまいります。
 
本実証にご協力いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。
 

【ご参考:関連ニュースリリース】
◆第1期実証
空港間リソースシェアによるアバターロボット実証を開始
-オペレーターが新千歳空港と旭川空港のアバターロボット「newme」を活用した案内業務-
https://about.avatarin.com/info-news/news-release/9592/
◆第2期実証
空港間リソースシェアによるアバターロボットの第2期実証を開始
-動画再生機能と問い合わせボタン機能を組み合わせ、状況に応じた柔軟な案内を実施-
https://about.avatarin.com/info-news/news-release/9841/
 


 

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